あるところにとても本の大好きな男がいました。
その男は本が好きなあまり、大きな船を改造して、図書館にしてしまいました。
そして世界中を旅しては、新しい本を手に入れて、その船の中へ積み込んだのです。
あるとき男が、大好きな本に囲まれながら読書をしていると、船がぐらぐらと揺れはじめました。
なんと、本の重みに船のエンジンが耐えきれず、オーバーヒートを起こしたのです。
船はどんどん沈んでいき、ついには海の中へ消え去ってしまいました。
それでも男は本が読みたかったので、その船を潜水艦に改造しました。
ときどき、どこかの船が海の上を渡っていると、海の中から潜水艦が顔を出して、船に積んである本を、根こそぎ奪っていくそうです。
男はいまも海の奥底で、読書に耽っているということです。
おしまい