図書館船

photo of old ship under cloudy sky ある吟遊詩人の歌
Photo by Trace Hudson on Pexels.com

 あるところにとても本の大好きな男がいました。

 その男は本が好きなあまり、大きな船を改造して、図書館にしてしまいました。

 そして世界中を旅しては、新しい本を手に入れて、その船の中へ積み込んだのです。

 あるとき男が、大好きな本に囲まれながら読書をしていると、船がぐらぐらと揺れはじめました。

 なんと、本の重みに船のエンジンが耐えきれず、オーバーヒートを起こしたのです。

 船はどんどん沈んでいき、ついには海の中へ消え去ってしまいました。

 それでも男は本が読みたかったので、その船を潜水艦に改造しました。

 ときどき、どこかの船が海の上を渡っていると、海の中から潜水艦が顔を出して、船に積んである本を、根こそぎ奪っていくそうです。

 男はいまも海の奥底で、読書に耽っているということです。

 おしまい

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