砂糖の城

close up photo of dessert on top of the jar ある吟遊詩人の歌
Photo by Anna Tukhfatullina Food Photographer/Stylist on Pexels.com

 むかしむかしある国に、砂糖の大好きな王様がいました。

 王様はあんまり砂糖が好きなので、とうとう砂糖でお城を作ってしまいました。

 そうしてできたお城を、王様はいつもペロペロとなめながら、幸せに暮らしていたのです。

 ところが困ったのは国の民たちです。

 王様が国のお金をぜんぶ砂糖に変えてしまったものですから、彼らはろくに食べるものがありません。

 なのでそのへんになっている木の実や、あるいは草などをむしって空腹をしのいでいたのです。

 ときどきおなかがすくあまり、お城の塀や柱を盗む者が現れるのですが、王様からたちどころに捕らえられ、砂糖の漬物にされてしまいました。

 こんな生活がずっと続くものですから、この国はどんどん疲弊していったのです。

 するとあるとき、おそろしいことが起こりました。

 食べ物を奪われた獣や鳥や虫たちが怒り狂って、お城を襲いはじめたのです。

 砂糖のお城は獣にかじられ、鳥につつかれ、虫になめられ、ついにはひとかけらも残さずなくなってしまいました。

 お城を失った王様は、草ひとつ生えていない地面に転がり落ちました。

 そして待ちかまえていた国の民たちに、袋叩きにされましたとさ。

 おしまい。


ライター・アクター・リスナーをマッチングする投稿サイト「Writone(ライトーン)」にて、アクターのこーたろ怪談@YouTube+SPOONさんが音声化してくださっています。

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